■雪道
年末年始雪鉄ツアーの2日目に友人の車を借りて浜坂の手前まで行った。友人宅のある日高町は、朝から一面の雪景色。道路も山もこんもりと雪が積もって絶好の雪鉄日よりと思いきやまたもや「海沿いは雪ないかもよ」との話。なんでも香住の実家のある人の話では、昨日なかったと。

とにかく本日の一番の目的は、浜坂のひとつ手前の久谷という駅に行ってみたかったのだった。行ったことのない場所に撮影に行くときは、グルーグルマップ&アースで現地をパソコンで視察していくが、トンネルを抜けたところに踏切とポツンとプラットホームがある、山あいの静かな(と想像)いい感じなのだった。そこの雪景色とオレンジ色のキハ40を撮りたいと思ったのだ。

友人宅から県道までは、雪で覆われてどこまでが道か分からない。慣れていないので、用心しながらそろそろと走った。県道へでても朝の8時過ぎなのでまだクルマも少なく、道路にもたっぷり雪が載っている。バイパスの入口で警察が、雪タイヤを履いているかチェックしていた。こんなところにノーマルタイヤのクルマが居たら大事故大迷惑になる。
久しぶりの雪道走行で、注意しながらせいぜい40キロまでで走っていたが、行き交うクルマもやはりそんなものだった。山道に入ると雪の量が増し、途中の休憩所では、車をどこに止めて良いか分からないくらい積もっており、トイレの入口にも積もっていて雪かきをしながら出ないとたどり着けないほど。いやはや、大雪とはすごいものだと、都会育ちの私には非日常の楽しさもあった。

基本的に県道など幹線道路を通っていくので、早くから除雪車が出て除雪してくれていた。ご苦労様だ。時には除雪作業の間を徐行ですりぬけ、慎重に走ったが結構な下り坂が怖い。友人の車はFFなので少しスピードが出ているとカーブで後ろのタイヤが微妙に滑っているのが分かる。慌ててエンジンブレーキで速度を落とす。そんなこんなで、18日にも来た佐津へ到着。あれ?少し前までの雪は何処へ?

■佐津〜久谷
佐津は残雪すら殆どなく、あるのは以前と同じく海からの強風。ここはそういう土地なんだなと悟る。取る場所を探しているウチに1本見逃しの三振(T-T)やっと場所を確定したら、今度は鬼のような吹雪に。もう撮影どころではない。クルマの外にも出られない。ホントに厳しい気候だなあと、山陰海岸の風雪を知るのだった。

列車の時間になると少しマシになって、撮るだけ撮ったという感じ(笑) その後、ロケハンを兼ねて海沿いの道を柴山から香住へ行き、もうひとつの目的地である鉄橋を確認。帰りに撮る計画で、そのまま第1目的の久谷へ。
山の県道に入るとまたもや雪。ほんとうに海沿いと山沿いと雪の量に差がある。景色が変わる。グーグルのナビを頼りにややこしい道を走り、山あいの「この先道あるんだろうか?」的な道を入っていくと、久谷駅はあった。

山あいのぽつんとひと駅。集落から離れて、たたずむ真っ白に雪が積もったその駅は、ホーム上には、駅名表示と時刻表しかなく、待合室さえない停車場。タヌキやキツネしか乗降客はいないのではないかと思えるくらい世間から隔離された空間にしんしんと雪がふっておりました。一面が雪なので、先に抜ける道があるのかどうかも分からない。かろうじで分かる道を進んで、入るのももったいないような真っ白な空間に車を止め、しばし周囲を観察。どこからどこが地面なのかも分からないほど雪が積もっている。

15分後には列車が来るので、急いで用意をしなければならないが、この雪で果たして写るのだろうか。それに、いつも写真を撮る傍らで動画を撮っているが、一眼レフとiPhone、それと音声は別にレコーダーで録る。この雪でセッティングできるのか。と、考えている時間はなく、こういうときのためにAmazonでかっておいたオレンジ色のポンチョを着てみる。大きなイカのようなカタチで全身を覆ってくれるのだが、これが大正解で、手持ちのカメラもダイヤや小物を入れているショルダーバッグも完全に雪から守られる。さらに、他のバッグのレインカバーをカメラ用に持ってきたのも大活躍。すべての機材をスタンバイして直前まで防雪できた。

しかし、大晦日に山あいのポツンと一軒駅でこんなことをしているのは、普通の人から見ると変人に見えるのだろうなあと思いながら目的の3本を消化。特急はまかぜも来るはずだったが雪で運休。列車の運転士からは、大晦日に雪の中で写真を撮ってる頭のおかしいオレンジのイカにしか見えなかったかも(笑)
その後香住に戻る途中で時間があったので餘部鉄橋に寄ってみたが、ここも残雪状態で鬼のような強風。お土産だけ買って香住へ。香住も強風で、下見しておいた鉄橋でなんとか2本撮って暗くならないうちに友人宅へ帰った。