生野駅で雪景色の列車の写真を撮る合間に、結構な待ち時間があったので駅周辺を散策。生野と言えば、一般的には生野銀山となるわけですが、鉄道ファンには生野峠の難所として有名ですね。

この生野駅は大好きな駅です。播但線は、中学の頃に一番身近なSLの走る路線として何度か撮影に来ていた鉄ちゃん趣味の青春というかノスタルジーであり、現在(令和4年1月)も国鉄時代の車両が走る貴重な路線でもあります。それだけに思い入れが強い。両側から急勾配が続く生野峠は昔から鉄道名所のひとつでした。家族で山陰海岸に旅行に行くときにここに列車が止まると、横にはSLに牽かれた列車が煙を吐きながら止まっていたりしてワクワクしたものでした。

生野駅は普通の駅と違っていて上下線の方向が逆です。これは構内の線路配置とかつてのSL運転の事情によるもので、急勾配を登ってきたSLが構内に入る際に失速しないように直線で入れることを優先したのでした。この話は鉄道ファンの間では有名かも知れません。

そんな生野駅ですが、もちろん時代と共に変化していて、かつては、銀山から出る銀の鉱石を積み込む引き込み線が北東斜め方向に有り、駅の上下線の間にもう1本線路があって、特急や急行に追い抜かれる貨物列車が待機していたり貨物の積み込みをしていたりしたのです。もっと歴史を遡ると明治時代に播但鉄道が生まれたときの終着駅で引き込み線のあったところ(現在はマンションが建っている)にホームがあったそうで、その後新井に延伸するときに現在の場所にホームが移されたそうです。
下の写真は国土地理院のページで閲覧できる昭和51年の航空写真です。無煙化後だと思いますが、まだ左下(駅の東北方向)に引き込み線が見えます。貨物列車が止まっていますね。現在ローソンになっているところはまだ畑です。

生野駅は、最近委託により、時間限定で切符の販売などがされているようですが2020年に来たときは無人駅でした。特急が止まるのに無人駅(笑)ローカル線ではあるあるです。現在は、西口東口があるのですが、昔は東口だけだったように思います。現在、西口には広いロータリーがあって、各所方面の路線バス(と言ってもそんなに本数はない)が発着しますし、峠を越える県道を挟んでローソンもある。こっちは新しい感じ。

東口はかつての駅舎でありこっちが正面でした。駅前には小さなロータリー、それを囲むように古い建物が今でもならんで、西口とは対照的に昭和の風情を残しています。生野銀山は、方角的にはこちら側なのですが、銀山に行くには西口からバスやタクシー、あるいは猛者はレンタサイクルで行くようになっています(笑)

ホームや上屋(ホーム上の屋根)、跨線橋(ホームを渡る渡り廊下)なども昔のままで、特に跨線橋がとてもいい感じなのです。ローカル線も老朽化する駅舎などの建て替えが行われ、こういう昭和の駅舎は少なくなりました。